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食品ロス削減へ 学習プログラム 横浜市立小で初実践「自宅から取り組んで」(産経新聞)
食べられるのに捨てられてしまう食べ物「食品ロス」を減らそうと、横浜市は小学校などを対象にした「食品ロス削減学習プログラム」を考案した。農林水産省によると、平成27年度の推計では、国内の食品ロスは年間646万トンに上り、うち289万トンが家庭から廃棄されている。世界各国が取り組む国連の持続可能な開発目標(SDGs)を追い風にしながら、子供に食品ロスを身近な問題として考えてもらおうと、同プログラムを実践する市立小学校を訪ねた。
「食べ物を捨てることは地球を壊すこと。必要なものだけを買って食べましょう」。某日の午前、同市立日枝小学校(南区)で、5、6年生の児童210人を前に、国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所のンブリ・チャールズ・ボリコ所長は訴えた。
■「給食を残さない」
同校は、市資源循環局3R推進課が、FAOなどと連携した同プログラムを活用した初めての学校だ。5年3組の総合学習の時間に、同プログラムを通年で実施する。
ボリコ所長は、食品ロスの原因や対策、食品を廃棄することで温室効果ガスが発生し、環境に悪影響を及ぼすことなどを講話。食材を買いすぎないように気をつけたり、賞味期限が迫った商品から順に購入したり、家庭でできることは少なくないと呼びかけた。
5年生の矢田翼さん(10)は「これからは買い物やご飯を食べるときに、欲張らないようにします。小さなことから始めれば、食品ロスが減ると思う」と話した。
食品ロスが注目されるきっかけとなったのは、平成23年にFAOが発表した報告書だ。毎年、世界の生産量の3分の1に当たる約13億トンの食品が廃棄されている実態が明らかになり、世界に衝撃を与えた。
■家庭のものは無規制
同省によると、国内の食品廃棄物は増加傾向で、27年度には2842万トンに上った。このうち、食品メーカーの余剰在庫や小売店での売れ残り、飲食店などの事業所からの食品ロスが357万トン、家庭からが289万トンの計646万トン。国連世界食糧計画(WFP)が途上国や災害被災地などへ送る食糧援助量(320万トン)の2倍を超える。
家庭からの食品廃棄物は、832万トンと全体の約3割に上る。事業所から出る食品廃棄物は食品リサイクル法で家畜の餌や肥料などに再利用することが義務付けられているが、家庭から出る食品廃棄物には規制がない。
そうしたことなどを背景に、今年6月19日、政府は食品ロスの削減について初めて数値目標を設定。27年に採択されたSDGsでは、小売店や消費者レベルでの食糧廃棄を半減させるとの目標が掲げられていることを踏まえ、政府は家庭からの食品ロスの対策として、42年度までに12年度比で量を半減させる「第四次循環型社会形成推進基本計画」を閣議決定した。
■フードドライブ
同プログラムでは、世界の食糧事情などを子供たちに伝え、身近にある“食品の大切さ”を知ってもらい、家庭の食品ロスの削減にもつなげたい考えだ。同校では他にも、家庭で余った缶詰などの食品を学校に持ち寄り、施設などに寄付する「フードドライブ」などを取り入れている。
こうした取り組みは、集まった食品を困窮家庭の子供に提供する「こども食堂」に届けられるなど、食を支援する活動のバックアップにもつながる。同課の江口洋人課長は「家庭内の食品ロスから目を向けてもらい、さまざまな支援にもつながってほしい」と話した。(王美慧)