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心不全やがん治療に期待 京大など、血圧調節物質受容体の構造解明

血圧を調節している「エンドセリン」という物質が結合するタンパク質の立体構造を、京都大や東京大、名古屋大などのチームが明らかにした。

 エンドセリンは血管を収縮させる働きがある物質として日本人が見つけ、1988年に発表した。血管の細胞表面にある、タンパク質でできた「受容体」という部分と結合すると血流の速さが変わり、血圧が調節される。

 チームは今回この受容体の構造を解明した。高血圧や動脈硬化、心不全の治療薬開発のほか、血中の抗がん剤の効き目を強めるのにも役立つ可能性があるという。

 これまで構造がよく分からず、血圧調節の詳しい仕組みも不明だった。

 チームは、構造解析の障壁となっていた変性を起きにくくした上でこの受容体を、大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)を使い解析した。

 すると、エンドセリンが受容体にはまり込み、さらに特定の部分がしっかりとつなぎ留められている構造が判明。広い領域で作用し合っていることも分かった。

 チームの土井知子・京大准教授は「受容体だけを狙って作用するような副作用の少ない薬剤の開発につなげたい」と話している。