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血栓予防で新治療 不整脈患者に「経皮的左心耳閉鎖術」

岐阜市薮田南の岐阜ハートセンターは今月上旬、心房細動による不整脈患者の脳梗塞のリスクを抑える新たな治療法「経皮的左心耳(さしんじ)閉鎖術」を県内で初めて行った。心房細動の不整脈の場合、脳梗塞の原因となる血栓の約90%が左心房の「左心耳」という小さな袋のような場所で作られる。閉鎖術はこの部分を網状の機器でふさぎ、左心耳で血栓ができるのを防ぐ。

 同センターによると、通常、血栓予防には血液をさらさらにする抗凝固薬を使う。閉鎖術は出血のリスクが高いために長期的な服用ができない患者への代替療法として10年ほど前に欧州で始まった。国内では昨年9月に保険適用となった。

 右太もも付け根の静脈からカテーテルを挿入し、先端に取り付けられた網状の機器で左心耳の入り口をふさぐ。留置する際に傘のように機器が開く。1カ月半ほどで表面を膜が覆い左心耳からの血流はなくなる。ただ、この間の抗凝固薬の服用は必要になるという。

 同センターでは同じ日に2人の男性患者に閉鎖術を行った。担当した循環器内科医長の男性医師(44)は「全身麻酔をするが、治療は1時間ほどで終わり、体への負担は少ない」と評価する。血栓予防治療の第一選択は抗凝固薬としつつ「長期的に抗凝固薬の服用ができない患者にとって治療の選択肢が一つ増えたことは大きい」と話した。