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腸内細菌、大腸がん発症リスクに影響か 英研究
【記者:Nicola Davis】
ヒトの健康と体内の微生物との関連性に関する最新の調査により、腸内細菌が大腸がんの発症に影響を及ぼす可能性があることが示唆された。英ブリストル大学のケイトリン・ウェイド博士が今月、英グラスゴーで行われた英国がん研究機構の会議で発表した。
腸内フローラ(腸内細菌叢(そう))は近年、盛んに研究されており、科学者らは、特定の細菌叢が、不安症から肥満に至るさまざまな症状に関わっている可能性があると示唆している。
ウェイド博士のチームが行った研究は、未査読かつ未発表のものではあるが、欧州での三つのプロジェクトからの約4000人に上る遺伝子と腸内フローラのデータを分析。特定の腸内細菌の存在に関連する遺伝的変異があるか否かを、詳しく調査した。
研究チームは、それぞれ異なる種類の腸内細菌に関連づけられる13の遺伝的変異を特定。その後、別の約2000人のデータを分析し、これらの遺伝子変異のある人が、大腸がんを発症する傾向にあるかどうかを調査した。
結果は、バクテロイデス属の細菌を持つ可能性を高める遺伝子を持っている人は、大腸がんのリスクが2~15%高いことが分かった。
だが、腸内細菌に関係した遺伝子変異が直接、大腸がんのリスクを高めているのか否かを含め、多くの疑問が残る。「遺伝子変異がまず大腸がんと関連し、それが細菌の形成パターンにつながるのかもしれない」とウェイド博士は説明した。
また、こうした変異が特定の食嗜好をもたらし、それが直接、大腸がんのリスクに影響を及ぼしたり、細菌の形成パターンに作用することで大腸がん発症リスクに影響したりする可能性もある。
ウェイド博士は、バクテロイデス属のどの細菌が、大腸がんに関連している可能性があるかを突き止める必要があると述べた。さらに、このような微生物を操作することで大腸がんのリスクを低下できるのか、そのようなアプローチには意図しない結果が伴わないかなどを探るため、さらなる調査が必要だと説明している。【翻訳編集】AFPBB News
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