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血液1滴でアルツハイマー検査 軽度認知障害診断も可能に 名古屋市立大など

アルツハイマー病を血液1滴で診断できる可能性のあるマーカーを、名古屋市立大などの研究グループが発見した。アルツハイマー病の前段階の軽度認知障害(MCI)の診断も可能になるという。研究結果は先月、米国のアルツハイマー病の専門誌に掲載された。

 アルツハイマー病は、発症の20年以上前から「アミロイドベータ」と呼ばれるたんぱく質が脳に蓄積することが分かっている。研究グループは、2016年にアルツハイマー病の研究を行う中で、細胞にアミロイドベータを投与すると、たんぱく質の一種である「フロチリン」の分泌が低下することに気づいた。そこで、フロチリンをアルツハイマー病の診断マーカーに使えないかと考えた。

 研究グループは、画像診断でアルツハイマー病と診断された人15人と、診断されなかった人15人の血液を分析。その結果、診断された人では、診断されなかった人と比べ、フロチリン濃度が低下していた。MCIも同様の結果だった。

 現在、アルツハイマー病を早期に発見する方法には、髄液検査や、陽電子放射断層撮影(PET)画像を用いる方法があるが、髄液検査は患者の身体への負担が大きく、PET診断も機器と試薬が高価で実施できる施設も限られている。血液マーカーを使った研究は他にもあるが、フロチリンに着目したのは初めてで、「簡便で費用も安価」という。

 研究を統括する名古屋市立大大学院医学研究科の道川誠教授は「今後さらに多くの人数で調べる必要がある。治療薬が米国で開発されており、早期発見の必要性がこれまで以上に高まっている。製品化を進めており、2、3年以内には実用化したい」と話した。【細川貴代】