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米大学が24年間追跡調査、血圧推移で分かった病気リスク
2019年8月に米ジョンズ・ホプキンス大学のキーナン・A・ウォーカー博士らの研究チームが医学誌「JAMA」に発表した論文が、世界の医療関係者の間で注目を集めている。
【一覧表】血圧と病気リスクの関係は研究チームは、米国の4地域に居住する男女4761人を対象に、24年間、計5回にわたって血圧を追跡調査した。
第1回の血圧測定と診察を行なったのは1987~1989年で、当時44~66歳だった男女。その後3年ごとに4回にわたって血圧を測定し、その結果を「中年期の血圧」と定義した。
4回目の診察から約15年を空けた2011~2013年、5回目の血圧測定を実施。最初の検査から約24年後の被験者の測定結果を「高年期の血圧」と定義した。
同調査では「高血圧」を140/90mmHg強、「低血圧」は90/60mmHg未満とし、その中間は「正常血圧」と定義。そのうえで4761人の血圧の推移を、以下の5パターンに分類した。
(1)中年期からずっと正常血圧:833人(17.5%)
(2)中年期は正常血圧→高年期は高血圧:1559人(32.7%)
(3)中年期からずっと高血圧:1030人(21.6%)
(4)中年期は正常血圧→高年期は低血圧:927人(19.5%)
(5)中年期は高血圧で高年期は低血圧:389人(8.2%)北品川藤クリニック院長の石原藤樹医師が、この調査の意義を解説する。
「日本で長期間継続した疫学研究は1961年に始まり現在も続く『久山町研究(*注)』が有名ですが、血圧の変化を長期にわたって追跡した調査はこれまでほとんどありませんでした。
今回の調査が画期的な点は、中年期と高年期における血圧の推移が健康に与える影響を調べたことです。血圧のコントロールは健康長寿に欠かせませんが、今回の調査からは、“どんな人が、どの年代で、どのくらいの数値で血圧をコントロールすべきか”の答えが見えてきます」
【*注/福岡県糟屋郡久山町の約4800人の住民を対象とし、生活習慣病を中心に行なわれている疫学調査】
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