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麻疹患者増加、広域発生で医療機関受診も-厚労省が都道府県に事務連絡(医療介護CBニュース)
麻疹(はしか)の患者報告が増えていることを受け、厚生労働省は25日までに、発熱・発疹の症状が見られる患者への予防接種歴の確認などを医療機関に周知するよう求める事務連絡を都道府県などにあてて発出した。患者が不特定多数の人と接触した場合、「広範な地域において麻疹患者が発生し、医療機関を受診する可能性がある」として注意を呼び掛けている。【新井哉】
■海外渡航歴ない「国内感染」の患者続出
麻疹をめぐっては、2008年に1万人を超える大規模な流行が国内で起きたが、その後は患者が減少傾向となっており、昨年3月にはWHO(世界保健機関)西太平洋地域事務局から、「日本が麻疹の排除状態にある」との認定を受けていた。
しかし、今年に入ってからは、海外で麻疹に感染して日本で発症した「輸入症例」の報告が絶えず、一部の地域では海外由来のウイルス(D8型)による「国内感染」が確認されている。特に千葉県では、昨年はゼロだった麻疹の患者報告数が、今年は11人(23日時点)と急増。同県は、いずれも海外渡航歴はなく、国内で感染した可能性が高いとしている。
兵庫県西宮市でも海外渡航歴のある19歳の男性が麻疹と診断され、この男性の家族3人も罹患。同市は、接触者の健康観察や市内の医療機関への注意喚起を行った。この男性が14日に千葉市内で開催されたコンサートに参加していたことも判明。9日から発熱の症状があったことを考慮し、千葉市に患者の情報を伝えたという。
このような患者の発生状況などを踏まえ、厚労省は事務連絡で、発熱や発疹の症状のある患者が受診した際は、予防接種歴の確認に加え、「麻疹の発生を意識した診察を行う」とした。また、空気感染もあり得る感染力の強さを考慮した院内感染対策を実施する必要性を挙げている。
■患者が最初に受診する医療機関は対策を
国立感染症研究所感染症疫学センターも25日、麻疹に関する「緊急情報」をホームページに掲載した。今年は特にアジア(インドネシア、モンゴルなど)に渡航歴のある患者の報告が目立つことを指摘。麻疹が流行している国に渡航する前には、自身の麻疹のワクチン接種歴を確認し、未接種や過去に罹患していない場合は、接種後に渡航するよう呼び掛けている。
また、麻疹に罹患した場合、肺炎や中耳炎などを合併することが多く、患者の1000人に1人は脳炎を合併し、命にかかわることなどを挙げ、定期接種対象者で受けていない人や、病気などで受けられなかった人は、できる限り早めの接種を検討するよう促している。
特に麻疹患者が最初に受診する可能性のある内科や小児科、皮膚科、救急などの医療機関に対しては、必ず麻疹を鑑別に入れて早期診断の実施や感染拡大の予防策を講じるよう要望。また、ワクチンの接種歴や最近の渡航・国内旅行歴、国際空港や人が多く集まる場所に最近出掛けたことがないかを問診項目に含めることが、早期診断につながるとの見解を示している。