介護・医療関連ニュース

感染症と闘うウイルス研究者兄弟

 米国の東西海岸で働く研究者の兄弟が進めるウイルス対策の研究が、ジカ熱やエボラ出血熱など感染症対策に取り組む軍部の注目を集めている。

 ◆軍部も注目

 ウイルスと戦う新たな方法の研究を行っているのは、ハーバード大学ワイス応用生物学エンジニアリング研究所の生物学者、アリエル・ワインバーガー氏と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校グラッドストーン研究所のウイルス学者、レオル・ワインバーガー氏の2人だ。この研究で両氏は、細胞に侵入し、その細胞を死滅させるウイルスを抑え込むために、遺伝子操作を施した安全なウイルスを使用するという実験を行った。実験はまだ試験管や動物を用いたごく初期の段階にある。

 だが、米政府は既にこのアイデアを発展させ、同じような変異ウイルスが他の疾病の予防にも役立つかを見極めるため、投資する意向だ。

 南北アメリカ大陸に広がるジカウイルスであれ、各地で死者を出すような新型インフルエンザであれ、世界を揺るがす疾病が大流行するたびに、瞬く間に進化して薬が効かなくなるウイルスとの闘いは困難なものだ。疾病が航空機を介して広がる一続きになった世界では、ウイルスと戦う新たな手段が不可欠だとアリエル氏は指摘する。

 ワインバーガー兄弟は、「治療干渉粒子(TIP)」と呼ばれる遺伝物質を研究している。TIPの存在は何十年も前から知られていたが、疾病の大流行を食い止める可能性があるとわかったのはごく最近のことだ。副作用の可能性やヒトへの有効性についてはまだ十分な研究が行われていないが、同兄弟はTIPの予備的研究のため、米国防高等研究計画局(DARPA)から既に資金提供を受けている。DARPAは、異なる疾病それぞれを狙い撃つ多様なTIPの発見に関心を寄せる。

  • 前ページ
  •  
  • 1ページ
  •  
  • 2ページ
  •  
  • 3ページ
  •  
  • 4ページ
  •  
  • 次ページ