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急性心筋梗塞死との診断 一部は別の死因か 福島県初の調査
二〇一七(平成二十九)年の人口動態統計調査で、急性心筋梗塞が死因と分類されるなどした県北地方の死亡者の一部は、別の原因で亡くなった可能性があることが県が初めて実施した急性心筋梗塞の死亡実態調査で分かった。県は調査により急性心筋梗塞の死因診断の難しさや早期受診の重要性が確認されたとしており、結果を死亡率改善に向けた取り組みに役立てる方針。
二十五日に福島市の福島テルサで開いた報告会で示した。
調査は男女とも全国で最も高い本県の急性心筋梗塞死亡率の改善に向け、発症から搬送や検査状況、死亡に至る実態を調査・分析する目的で実施。人口動態統計の基礎資料となる診療記録を県北、福島市両保健所から収集し、直接死因欄などに急性心筋梗塞の記載があった二百六十人を対象とした。福島医大の医師ら調査員が各記録を(1)世界保健機関(WHO)の急性心筋梗塞診断基準での判定(2)各医師による評価-の二つの手法で分析した。WHO基準による判定では全体の16・2%が「急性心筋梗塞ではない」、医師の評価では48・5%が「急性心筋梗塞の可能性がない」と判断されたほか、WHO基準では68・1%が急性心筋梗塞かどうかが「判定不能」となった。県は急性心筋梗塞の判定の難しさの表れと受け止め、県死因究明検討会などで対応を検討する。
調査では、高血圧や喫煙など複数の危険因子を持つ対象者の多さや病院で再灌流(かんりゅう)手術を受けた患者の生存率が九割超という状況も分かった。県はこれらの成果を急性心筋梗塞に関する理解の普及、高齢者の見守り強化などに生かすとしている。