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ヒトiPS使い、小児の脳のがんをマウスで再現 東京大

ヒトのiPS細胞を使い、治療が難しい子どもの脳のがんの病気の仕組みをマウスで明らかにしたと、東京大のチームが発表した。脳のがんの状態を再現したマウスを使い、治療薬の候補を見つけるとともに、他の小児がんに応用できる可能性も示せたという。論文は6日、米科学誌セルリポーツに掲載された。

 この脳のがんは「非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍(しゅよう、AT/RT)」。3歳未満の幼児に多く見られる。患者は国内で年に数人で、半数以上が生後1年以内に亡くなるという。「SMARC(スマーク)B1」という遺伝子の異常が原因の一つだが、病態はよくわかっておらず、定まった治療法はない。

 東京大医科学研究所の山田泰広教授らのチームは、この遺伝子が欠損したヒトのiPS細胞をつくり、マウスの脳に移植した。その結果、マウスの脳に腫瘍ができ、調べるとAT/RTの特徴を持っていた。また、この腫瘍ができると増える2種類の遺伝子を特定、遺伝子の増加を抑える薬を使い、がん細胞の増殖を抑えられたという。

 山田教授は「ヒトの細胞を使い、がん化のモデルを初めて再現した」と説明。他の小児がんである神経芽腫や肝芽腫もAT/RTと同じ方法で増殖を抑えられたといい、「他の小児がんの治療に応用できる可能性がある」と話している。(戸田政考)