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胎内でアレルギー予防、母へ薬投与すると子に効果…マウス実験で成功
国立成育医療研究センターなどの研究チームは、重いぜんそく患者向けの薬の成分を妊婦に投与すると、生まれてくる子どものアレルギー発症を予防できる可能性があると発表した。マウスの実験で確かめ、論文が米学会誌で紹介された。
人間の胎児や新生児には、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などの原因物質「免疫グロブリンE(IgE)」を大量に作る特殊な細胞がある。チームは、IgEを抑えるぜんそく用の薬の成分が胎盤を通じて胎児に移ることに着目した。妊娠中のマウスに薬の成分を2回注射すると、子どものマウスの体内では生後6週間以上、IgEが作られなかった。薬の成分が特殊な細胞を死滅させた可能性が高いという。
チームによると、国民の3人に1人に何らかのアレルギーがあり、患者は増加傾向という。乳児はアトピー性皮膚炎を発症すると、食物アレルギーなどを次々と発症しやすくなる。治療は主に対症療法しかない。チームは数年以内に臨床応用を目指す。
今回の研究には、IgEの発見者でノーベル賞の受賞候補と目されながら今年7月に亡くなった石坂公成博士が加わっていた。
日本アレルギー学会元理事長の西間三馨(さんけい)・国立病院機構福岡病院名誉院長の話「動物実験とはいえ、画期的な成果だ。薬の成分は重症のぜんそく患者で有効性と安全性が確認されており、臨床応用を進めるべきだ」