介護・医療関連ニュース

医療費自己負担増やさない高齢者の基準は?-社保審部会が制度見直しで議論(医療介護CBニュース)

社会保障審議会(社保審)の医療保険部会は14日に会合を開き、70歳以上の高齢者の医療費の自己負担を軽減する制度の見直しに向けて議論した。一カ月分の自己負担額の上限や、75歳以上の後期高齢者が医療機関の窓口で支払う医療費(窓口負担)の割合などについて、負担を増やす方向での見直しに反対する意見は出なかったが、複数の委員が、低所得者対策が必要だと主張した。所得ではなく資産に着目すべきとの指摘もあり、今後の議論では見直しの内容と併せて、見直し後も負担が増えないように配慮する対象者の基準が焦点となりそうだ。【佐藤貴彦】

 一カ月分の医療費の自己負担に上限額を設ける「高額療養費制度」では、高齢者の上限額が低く設定されている。また、窓口負担の割合は、6-69歳の人が3割なのに対し、高齢者は2割以下(所得が一定以上の場合は3割)で、中でも後期高齢者は1割とされている。

 こうした制度について、国は世代間・世代内で医療費の負担を公平にするため、見直しを検討することを決定。高額療養費制度については年内、窓口負担の割合については2018年度末までに結論を得ることとしている。

 14日の医療保険部会の会合では、厚生労働省の担当者が検討スケジュールを改めて説明。その後、委員らが意見交換した。

 この中で一部の委員は、「70歳以上(の上限額を)を70歳未満と合わせる形で速やかに見直す必要がある」「(後期高齢者の窓口負担について)2割負担を導入する方向で議論する必要がある」などと述べ、高齢者の負担を増やす方向で制度を見直すよう強く主張した。

 一方で、所得が低い高齢者の負担を増やさないために慎重な議論が必要だと複数の委員が指摘。高齢者が支払う保険料や介護保険サービスの利用料などにも配慮し、負担が一気に増えないようにすべきとの声も上がった。

 また、所得だけでなく、換金しやすい資産の保有状況などにも着目して議論するよう提案する委員もいた。

 高額療養費制度の見直し時期については、来年度からすぐに実施するよう求める意見と、高齢者への周知や関連するシステムの改修などのために、一定の猶予期間を設けた上で実施すべきだとする意見の両方が上がった。