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がん専門病院、標準治療で差-国がんが医療「均てん化」で調査(医療介護CBニュース)
国立がん研究センター(国がん、中釜斉理事長)は26日、がん診療連携拠点病院(拠点病院)を中心とする全国232施設で、2012年にがんと診断された患者への標準治療・検査の実施率調査の結果を発表。肺がんで臨床病期1から3までの非小細胞がんへの外科治療、または定位放射線治療が9割超に達する一方、乳がんの乳房切除後の再発高リスク症例への放射線療法が6割となるなどばらつきが見られた。【君塚靖】
この調査は、科学的根拠に基づいた標準治療・検査の実施率を把握することで、全国どこでもがんの標準的な専門医療を受けられるよう、医療や技術などの格差を是正する、いわゆる「均てん化」を進めるために実施した。
調査に参加したのは、拠点病院の217施設と都道府県の推薦による院内がん登録を実施する15施設で、12年にがんと診断された31万2381人を対象に、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、肝がんなどの合わせて9の標準治療・検査の実施率をまとめた。
集計に当たっては、がんの標準治療・検査であっても、高齢で全身状態が悪く、認知機能が低下していたり、術後合併症などの臨床上の妥当な理由で実施できないケースもあるため、未実施の理由も加味した実施率を算出した。
9つの標準治療・検査のうち、6つが9割台の実施率となり、肺がんで臨床病期1から3までの非小細胞がんへの外科治療、または定位放射線治療の実施率は99.2%、肝がんに対する肝切除前のICG15分停滞率測定は97.0%などとなった。
一方、乳がんの乳房切除後の再発高リスク症例に対する放射線療法は61.7%、臓器横断となる催吐高リスク化学療法前の予防制吐剤投与は71.7%、同じく臓器横断となる外来麻薬処方時の便通対策は80.4%だった。