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抗認知症薬、かかりつけ医使用の留意点は?-老年精神医学会がガイドライン改訂案(医療介護CBニュース)

日本老年精神医学会は、かかりつけ医のためのBPSD(認知症の周辺症状)に対応する向精神薬使用ガイドラインの改訂版の案をまとめた。改訂案には、抗認知症薬の有効性や副作用、留意点などを追記。高齢者や認知症の人への向精神薬投与については、認知症疾患医療センターなどの専門医療機関との連携の下、かかりつけ医が適切に使用することで「認知症の人のQOL(生活の質)の向上につながる」としている。【新井哉】

 今回の改訂は、厚生労働科学特別研究事業の一環として実施。初版(2013年公表)に記載されていた抗うつ薬や抗精神病薬、抗不安薬、睡眠導入薬の項目に加え、新たに抗認知症薬の項目を追加した。

 改訂案では、同事業によるかかりつけ医の調査で、家族が最も困る症状は、物忘れと共に興奮性のBPSDであることや、かかりつけ医の半数以上がBPSDに対して向精神薬を処方しているといった結果が得られたと説明。また、かかりつけ医の約1割がガイドラインの初版を参考にしていることも調査で明らかになったという。

 BPSD治療の進め方(アルゴリズム)の項目では、「非薬物的介入を最優先する」とし、過食や異食、徘徊、介護への抵抗については「向精神薬の有効性を示唆するエビデンスはない」と説明。幻想や妄想、抑うつ症状、睡眠障害などに対しては「低用量で開始、症状をみながら漸増する」としている。

 今回追記した抗認知症薬の項目では、アルツハイマー型認知症にはコリン分解酵素阻害薬・メマンチン、レビー小体型認知症にはドネペジルが保険適用を受けていることなどを記載。また、有効性や副作用に加え、高齢や低体重、肝・腎機能低下や過敏などの状況を勘案して「添付文書の最高用量を超えない」といった留意点も盛り込んでいる。

 日本老年精神医学会は改訂版の案をホームページに掲載しており、5月9日までパブリックコメントを受け付けている。