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精神病床の機能分化、厚労省が論点提示-分科会で議論、医療体制の在り方も(医療介護CBニュース)
厚生労働省は29日、これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会の分科会に対し、新たな地域精神保健医療体制で想定される論点を提示した。「精神病床のさらなる機能分化」など3つの論点を挙げており、今後、有識者などからヒアリングを行い、検討会で議論すべき論点を整理する方針だ。【新井哉】
■医療体制の在り方など3つの論点を整理へ
この日の分科会で、厚労省の担当者は、精神障害者に対する医療の提供を確保する指針を取り上げ、「入院医療中心の精神医療から地域生活を支えるための精神医療の実現という理念が掲げられている」と説明。地域医療構想についても「策定するに当たっては、地域における精神科医療も含め検討することが必要であるということが明記されている」と述べた。
また、厚生労働科学研究で、長期入院の実態調査を実施したことや、精神障害者の重症度判定や重症患者の治療体制の研究が行われ、「重度かつ慢性」の暫定基準案を作成し、その妥当性の検証などの研究が継続中であることを説明。次回以降の会合で、研究の取りまとめを明らかにする方針を示した。
こうした状況などを踏まえ、分科会では、厚労省が示した「機能分化」や「精神障害者を地域で支える医療の在り方」、「多様な精神疾患等に対応できる医療体制の在り方」について意見を交わした。
■「機能分化の議論は尽くされた」、精神科病院で設備投資の動きも
機能分化については、病院や医師が患者を手放すことは難しいとの見解を示し、「診療報酬とシステムで病院がやらざるをえないような形にしないと変わらない」といった意見が出た一方、「精神科病院側から見た機能分化の議論は尽くされている」とし、急性期の精神科病院で設備投資の動きが広がりつつあると指摘する委員もいた。
医療体制の在り方については、身体合併症の精神疾患患者に対する検討が十分なされていないといった意見に加え、医療計画の中で精神医療の記載が不十分との指摘も出た。来月下旬に開かれる次回会合では、こうした論点などについて、有識者から意見を聞く予定。