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「介護離職ゼロ」、正しい理解は半数未満-オリックス・リビング調査(医療介護CBニュース)
昨年、政府が掲げた「介護離職ゼロ」について、その意味を正しく理解している人は、働いている人の半数に達しないとする結果が、オリックス・リビングが7日までに行った意識調査で示された。また、街で認知症の人を見かけても8割近くの人は声を掛けることができない上、8割以上の人が認知症カフェや認知症サポーター制度を知らないと答えたとする結果も出ており、認知症の人と共に生活する地域社会を実現するには、難しい課題が山積している現状が浮き彫りとなった。【ただ正芳】
オリックス・リビングが10月、40代以上の男女を対象にアンケート調査を実施。1238人(男性747人、女性491人)から有効回答を得た。
政府が掲げる「介護離職ゼロ」の意味について、就業している人(961人)に尋ねたところ、本来の意味である「仕事と介護の両立ができず、介護のために離職する人をなくすための政策」と回答した人は全体の44.9%にとどまった。「分からない」と回答した人は31.1%、「介護職員の離職を防いで、介護業界の人手不足を解消するための政策」と答えた人が24.0%いた。
就業している人に対し、家族を介護する必要が生じた場合、離職せずに仕事と介護を両立できるかどうかを尋ねた質問では、「できると思う」と回答した人は全体の5.7%となった。昨年の同じ調査と比較して「できると思う」と答えた人は4ポイント減っている上、働きながら介護に直面する可能性が高い50歳代で、介護と仕事の両立が可能と考えている人は男性では3.3%、女性では4.0%にとどまっていることから、オリックス・リビングでは「国や企業が介護離職防止策を打ち出しているにもかかわらず、多くの人は仕事と介護の両立に難しさを感じていることを示す結果となった」としている。
■認知症の人、見かけても「声掛けできず」が77%
また、「街で認知症の人と思われる高齢者を見かけた際に、声をかけることはできるか」との問いに対して、最も多かったのは「今はできないが、知識があればできる」の44.6%だった。次いで多かったのが「できない」(32.4%)で、現段階で声を掛けることができないと考えている人は77.0%いることが分かった。「できる」と答えた人は23.0%だった。
さらに、認知症サポーター制度や認知症カフェについて、知っているかどうかを尋ねた質問では、認知症サポーター制度を知っていると回答した人は15.6%、認知症カフェを知っている人は10.9%にとどまった。