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軽度者への介護給付見直し、「再考を」-福祉用具国民会議が厚労相に要望(医療介護CBニュース)

福祉用具の供給体制などを議論する福祉用具国民会議は20日、要介護2以下の軽度者を対象とした介護保険サービスに関する要望書を塩崎恭久厚生労働相に提出した。軽度者への福祉用具貸与や訪問介護の生活援助の原則自己負担化について、家族の負担増になる恐れがあるとして、再考するよう求めた。また、現行の介護保険制度の維持を求める約21万筆の署名を厚労相に提出したことも明らかにした。【松村秀士】

 財政制度等審議会が今年5月に取りまとめた建議には、2018年度に予定される診療報酬・介護報酬の同時改定を見据え、軽度者に対する訪問介護の生活援助や福祉用具の貸与などを原則自己負担(一部補助)とすべきとの提案が盛り込まれた。

 同会議の要望書では、この提案について、「歳出削減の矛先を特に軽度者に向けている」と指摘。その上で、軽度者への福祉用具貸与や生活援助を原則自己負担とした場合、介護する家族の負担の増加や介護保険サービス全体の給付費の増大につながる恐れがあるとして、再考するよう求めた。また、今年2月から今月までに福祉用具の利用者や関連事業者らから、軽度者への福祉用具貸与などの原則自己負担化に反対する約21万7000筆の署名が集まったことも明らかにした。

 20日に開かれた記者会見で、同会議の公開討論会で運営責任者を務める和田勲氏は、「介護保険費全体の中で、福祉用具のレンタル費は2%にも満たない」と述べた。その上で、介護保険制度で福祉用具の貸与を原則自己負担とした場合、軽度者は福祉用具を利用しなくなり、転倒リスクが高まるほか、不安や不便さから引きこもりがちになり、要介護度が上がる恐れがあると指摘。さらに、「そうなれば結果的にサービス全体の費用が増えることになる」と説明した。