介護・医療関連ニュース

平均寿命が延びて要支援・要介護年齢は将来5~8年後ろ倒しへ

【人生100年時代の健康法】

 男性の要支援・要介護は、70代後半で10人に1人、80代前半で5人に1人。この数字を見て、不安に思うかもしれません。

 しかし、これだけ寿命が延び続けているのですから、要支援・要介護年齢が繰り下がっているかもしれません。

 そこで厚生労働省の「介護保険事業状況報告」をもう一度見てみると、次のようなことが分かりました。

 2006年における要支援・要介護認定者数は、男女合計で約440万人。その10年後の16年には632万人に増えました。わずか10年間で、200万人近くも増えたのです。

 ところが前期高齢者(65~74歳)に占める要支援・要介護者の割合を計算すると、次のようになりました。

 2006年 5・1%

 2016年 4・1%

 つまり、06年には、前期高齢者の約20人に1人が要支援・要介護になっていたのですが、16年には約25人に1人に下がっていたのです。

 この間のデータは、男女合計の数字しか公開されておらず、かつ年齢的には前期高齢者と後期高齢者にしか分かれていないため、細かいことまでは分かりません。

 しかしこの10年間で、平均寿命は男女合計で約1・7歳(男性約2歳、女性約1・4歳)延びています。つまり平均寿命の延びに呼応して、要支援・要介護年齢も高齢化しているわけです。

 いま60歳の男性の実質的な平均寿命は約86歳、50歳男性なら88歳ですから、いまの中高年が要支援・要介護になる年齢は、5年から8年ぐらい後ろ倒しになっていると考えていいでしょう。つまり75歳までに要支援・要介護になる人はせいぜい1~2%に過ぎず、70代後半で20人に1人、80代前半で10人に1人程度になると見込めるわけです。言い換えれば、大半の人が、少なくとも80代前半までは介護のお世話にならずに暮らせますし、軽い仕事なら定年後20年間は続けられるということです。

 そのためには、心身ともに若さを保つ、少なくとも重病を避ける工夫が必要でしょう。しかし、そんなことが都合よくできるでしょうか。次週はこの問題を取り上げたいと思います。

(永田宏/長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授)