介護・医療関連ニュース
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「認知症の人の世界」ってどんなところ? バーチャルリアリティーで体験すると…
認知症介護あるある~岡崎家の場合~
認知症になってしまった父さんから見た世界を体験できるバーチャルリアリティー(VR)がある――。そんな情報を小耳に挟んだ私は、「なにソレ、気になるーっ!!」と、そのVRを体験できるというセミナーに早速、申し込んだのです。そして、ある秋晴れの日、東京都江東区で開かれたセミナーに参加してきました。
わかっちゃいるけど…耳が痛かった「おだやか介護」
その名も「目からウロコの認知症セミナー」。一般の方から専門職まで、認知症介護に関する研修を行っている日本高齢者アタッチメント協会の主催です。同協会の林炎子(もえこ)代表を講師に、VRだけでなく、「そもそも、認知症って?」といった基礎知識や、認知症の人とどう向き合うかなどを約3時間かけてじっくり学びます。
林さんがまずモニターに映し出したのは「どんより介護からおだやか介護へ」というメッセージでした。「どんより介護」とは、認知症の人の言動に戸惑い、うまく介護できずに疲れ果ててしまう状態のこと。そこから抜け出すために、認知症について学び、認知症の人の心の中を理解することで、介護が楽になり、介護する側もされる側も笑顔でいられる「おだやか介護」を目指そうというのです。
この対照的な二つの状態は、すでに身近な人が認知症になり、介護している私にとっては、いわば「現実と理想」。「おだやか介護」という言葉は、わかっちゃいるけど難しい、耳が痛いメッセージでした。頭の中で起きていること
林さんの講義では、ものの名前がわからなくなったり、新しいことを覚えられなくなってこれまでの記憶も失っていったり、考える・想像する能力が低下したり……といった認知症の症状について、なぜそうなるのかを解説します。認知症の人の頭の中でどういうことが起きているのか、身近なものやできごとを例として説明してくれるので、感覚的に理解することができます。
私は父さんの介護歴が長いためか、はじめのうちは介護者側の視点でものを考えていたのですが、林さんがさまざまな切り口で提示する「認知症の人の世界」を学んでいくうちに、いつの間にか「記憶がなくなっていくって、不安だわ……」などと、認知症の人側の視点が加わっていることに驚きました。1/3ページ