介護・医療関連ニュース
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物忘れ、物盗られ妄想、怒りっぽい…家族の混乱、小さくするには
「家族の会」が結成されたのが昭和55年1月ですから、まもなく38年になります。この間、社会は随分変わりました。認知症への関心が高まり、介護保険制度の誕生など施策も進みました。しかし、変わらないことがあります。それは認知症の人に向き合う家族の混乱です。
京都府立医科大神経内科の講座で認知症の女性(80)が描いた「透明水彩ぬらし絵」。絵の具のにじみの美しさを生かし、花の印象を描いた(「京都<臨床美術>をすすめるネットワーク」提供)
「家族の会」の会報「ぽ~れぽ~れ」8月号には次のような投書が掲載されています。《2~3年前から母の様子がおかしくなり、物忘れ、物盗られ妄想、怒りっぽくなり、物や父にあたるなど症状があります。1年前、初期の認知症と診断されました。私も書籍などで認知症の勉強をしていますが、家庭では毎日のように家族間のトラブルが絶えず、どのように母に対応すればよいのか途方に暮れています》
中には、「私は認知症の人の介護は2人目」とか「3人目」という人もいますが、ほとんどの人は初めての経験です。この投書の主のように家族全員が振り回され、大混乱になっているところは、たくさんあるだろうと思います。
そういう時大切なことは、認知症の人自身の心の中をできるだけ想像するように努めることです。
極端な物忘れで30年前に戻っているのではないか? 物を盗まれたというのは、自分の失敗を隠そうとしているのではないか? よく怒るのは、何かが不安なのではないか、私たち家族が何か気に添わないことをしているのではないか? 家族に突っかかるのは、「身近な人であるほど症状をより強く出す」という、認知症の人に共通する特徴ではないか?