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在日外国人対象の介護初任者研修 京都の社福法人が地域貢献で(福祉新聞)

京都府舞鶴市にある社会福祉法人成光苑のライフ・ステージ舞夢(地域密着型特養ホーム、グループホーム、訪問介護など)は、地域貢献の一環として在日外国人も参加できる介護員養成初任者研修を行っている。今年も7月から4カ月間、開かれる。

 港町の舞鶴市には興行目的でフィリピン人女性が来日し、日本人と結婚するが、生きづらさを抱えている人も多い。同じ地域の仲間としては見過ごせないと、上野由香子施設長(54)は就労支援を考えた。「介護の人手確保が目的ではダメ。施設、地域、在日外国人すべてにとって良い仕組みにしたかった」と強調する。

 2001年度に始まった前身のホームヘルパー養成講座から数えると、在日外国人は80人以上が受講した。日本語のレベルは違うが先輩受講者が通訳を手伝い、自治体による受講料の補助もある。

 舞夢では現在、在日外国人がグループホームで8人、地域密着型特養ホームで1人働く。グループホームの全職員は20人なので半数近くを占める。森本ロレナさん(38)は昨年研修を受講。17歳の双子の子どもがいる。「笑顔を見られるから介護は楽しい」と話す。主任の佐藤大二郎さん(39)は「言葉が分からず引き継ぎなどで難しい面もあるが、陽気で優しく利用者に受け入れられている」という。

 給与は原則、日本人と同額だが、仕事量も同じぐらい求められると彼女たちにプレッシャーとなるため、最初はアルバイトを勧める。また舞夢では月1回、フォローアップとして介護の日本語講座を開く。昨年度の介護福祉士国家試験には2人が合格した。

 年300万円掛かる研修費は法人が負担。一部を除いて法人職員が講師を務める。介護と違う業務で負担にもなるが、その分スキルアップにつながっているという。また人材育成では、30歳以下の独身男性職員が「介護青年団」というユニットを結成。就職説明会などで施設や介護の仕事に関する情報を発信している。

 上野施設長は職員の頑張りにエールを送る一方、「施設を知ってもらうため積極的にどんどん前へ出ながらやっている」と話している。