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世界で導入進む「砂糖税」 医療費削減効果は?(健康産業新聞)

世界で導入が進む「砂糖税」は、はたして医療費削減につながるのか――。「砂糖税」を導入した際の影響について試算したモデル調査の結果が、オンラインジャーナルの「PLOS ONE」に掲載された。

 近年、肥満対策と医療費削減のため、「砂糖税」や「ソーダ税」を導入する国が増えており、メキシコやフランス、米バークレー市では既に導入済み。今年3月には英国が導入を決定、2018年から実施する。100ミリリットル当たり5グラム以上の糖質を含む清涼飲料水が対象で、8グラム以上でさらに税率が上がる仕組み。税収は、小学校のスポーツ教育等に充てる予定という。

 今回の調査は、砂糖税が導入されていないオーストラリアで実施されたモデル調査。2010年時点でオーストラリアに在住する成人を対象に、20%の砂糖税を導入した場合を想定、障害期間調整後の平均寿命(DALYs)、死亡率、肥満関連死亡率、医療費支出などの影響を検討した。課税対象は加糖の炭酸飲料とフレーバー飲料で、果汁飲料、エナジードリンク、乳飲料などは除外した。

 試験の結果、健康調整平均余命の延長に加え、医療費が6億900万豪ドル(およそ516億円)削減できることが分かった。導入20年後には毎年安定して2900万豪ドルの医療費削減が期待できるという。2型糖尿病を発症する人は年間800例減少、さらに導入後25年で、心臓病は4400例、脳卒中は1100例の減少が見込まれるという。

 調査は豪・クイーンズランド大学やWHO等が共同で行ったもの。研究者らは政府に対し、医療費削減や効率的な税収のため、砂糖税を導入すべきとしている。