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買い物工夫、余り物で美食…「食品ロス」減らそう(産経新聞)
まだ食べられるのに、賞味期限切れや食べ残しなどで捨てられてしまう「食品ロス」を減らそうという取り組みが広がっている。農林水産省によると、国内の食品ロスは年間約500万~800万トンと推計される。食材を買いすぎないように気をつけたり、同じ食材でも飽きないようにレシピを工夫したり、家庭でできることは少なくない。(油原聡子)
◆期限近いものから
東京都江戸川区のスーパー「イオン葛西店」に2月、「順番につれてって!」と涙目で訴えるキャラクターのシールが貼られた総菜や牛乳などが並んだ。
食品ロスの問題に取り組む団体「フードロス・チャレンジ・プロジェクト」が実施した啓発活動の一環で、賞味期限が迫った商品から順に購入することを提案している。
「買ってすぐに食べる場合には、賞味期限の近い食品でもいいはず」と同プロジェクトの大軒恵美子代表。「少し意識を変えるだけで、食品ロスが削減できる」と訴える。
◆半分は家庭
食品ロスが注目されるきっかけとなったのは、2011年に国連食糧農業機関(FAO)が発表した報告書だ。毎年、世界の生産量の3分の1に当たる約13億トンの食料が廃棄されている実態が明らかになり、世界に衝撃を与えた。
元FAOの企画官だった大軒さんは「報告をきっかけに、世界で食品ロスに対する問題意識が広がり、削減に向けた取り組みが注目されるようになった」と指摘する。
農水省によると、日本では年間約1700万トンの食料廃棄物が排出されており、うち500万~800万トンが食品ロスと推計される。その半分は家庭から出ているとされ、普段の買い物を見直すだけでも削減につながる。
スーパーなどで買い物をする場合は、事前に家にある食品を確認しておく▽すぐに食べるものは期限の近いものを買う▽安いからといって必要以上に買わない▽残った食材は別の料理に活用する-などを意識したい。
食べきれないほどの食材をもらったときなどは、「新鮮なうちにお裾分けするといい」(大軒さん)。
◆パーティーで楽しく
各家庭で余った食材を持ち寄り、プロの料理人に調理してもらう「サルベージ・パーティ」が注目されている。サルベージは英語で「救助する」という意味。捨てられそうな食材を「救助」して、消費しようという取り組みだ。
プロの手にかかれば、ニンジンやタマネギなどの野菜や乾物、缶詰といった余り物がおいしく、おしゃれに生まれ変わる。例えば、メニューがマンネリ化しがちなそうめん。砕いて好みのスープと煮込めばリゾット風に楽しめる。
全国の料理スタジオなどで参加者を募り、パーティーを開催している一般社団法人「フードサルべージ」(東京都杉並区)の平井巧共同代表理事は、「残りがちな食材をおいしく食べる知恵が学べると好評です。友人同士でも気軽に取り組めるので、楽しみながら食品ロス削減につなげてもらえれば」と期待を込める。
消費者庁も平成26年、料理レシピサイト「クックパッド」内に「消費者庁のキッチン」というコーナーを開設。生のまま、丸ごと冷凍したトマトを使ったソースや餃子の皮を使ったピザなど、余った食材をおいしく使い切る方法や、別の料理に活用するレシピを紹介している。消費者庁の担当者は「食品ロスの削減はごみの減量にもつながる。サイトの内容を一層、充実させていきたい」としている。