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【デキる人の健康学】唐辛子と生姜の食べ合わせでがん予防(産経新聞)
唐辛子は中南米を原産とするナス科の果実で香辛料として世界中で使われている。料理に使われるだけでなく、健胃薬、凍瘡・凍傷の治療、育毛など薬として使われてきた歴史がある。
唐辛子の辛味成分カプサイシンは感覚神経のカプサイシン受容体に結合すると痛み刺激や辛味刺激を起こすことが知られている。日本でも「激辛ブーム」以来、唐辛子の消費量が増えたが、唐辛子を多く摂る国では胃癌や食道癌の発癌率が高いと報告され、唐辛子の過剰摂取と発癌の関連性が指摘されている。
一方で生姜はショウガ科の多年草で根茎が食材や生薬として使われている。生姜特有の辛味ギンゲロールは血流を促進して冷えを改善する効果や免疫力を向上させる効能が報告されている。
唐辛子と生姜はともにアジア料理に幅広く使われているが、一緒に使うと唐辛子による発癌性が相殺されるだけでなく、より健康な食べ合わせになっていることが報告され話題を呼んでいる。
中国の河南大学薬学部のシェンナン・ゲン博士らの研究チームは肺癌を発症しやすいマウスを用いてカプサイシンとギンゲロールが肺癌発症率に与える影響を検討した。その結果、カプサイシン投与群のマウスは全て肺癌を発症したのに対し、ギンゲロール投与群の肺癌発症率はカプサイシン群の50%に、カプサイシンとギンゲロールの両方を投与した群ではカプサイシン群の25%に肺癌の発症率が減少していた。
研究チームが肺癌の病理組織を解析すると、カプサイシン群ではがん細胞に炎症を伴っていたが、ギンゲロールを併用した群ではがん細胞の炎症が抑えられていることが分かった。激辛好みの人は生姜をうまく組み合わせることでがんを予防する効果が期待できそうだ。
■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。1990年より2007年まで東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダー。2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2015年より白澤抗加齢医学研究所所長。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など300冊を超える。