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寿命の延び、生物学的にはもう限界? 米研究(CNN.co.jp)

(CNN) 人の寿命の延びは生物としての限界に達しつつあるという説が、このほど科学誌「ネイチャー」に発表された。この100年で寿命は劇的に延びたものの、これ以上延びる可能性は極めて低く、125歳を超すことはまずあり得ないとしている。

米アルベルト・アインシュタイン医学校の研究チームは、米国、英国、フランス、日本で老化の傾向を分析した。その結果、「寿命の延びがすぐにも止まるとは考えられない」としながらも、データにはっきり示されている通り、「1990年代の時点で既に限界に達していた」と結論付けた。

調査によると、人の寿命は男性、女性とも1980年代までは著しい延びを示していたが、その後は延びが鈍くなり、ほぼ横ばいとなっている。

寿命を125歳以上に延ばすためには、健康状態の改善を超えた科学的発明が必要になると研究チームは解説し、「そうした取り組みが成功しないという科学的根拠はない。しかしその可能性は種固有の寿命を決めている無数の遺伝的変異体によって制約される」とした。

史上最も長生きした人物として記録されているのは、1997年に122歳で死去したジャンヌ・カルマンさん。

この研究について、加齢問題に詳しい英健康加齢研究所のデイム・リンダ・パートリッジ氏は、「今100歳の人は100年前の1916年に生まれ、現代の子どもたちとはまったく状況が異なっていた」と述べ、現在の高齢者は感染症や戦争、質の悪い食事といった過酷な生活環境を経験してきたと指摘。「従って、今生まれる子どもたち(の余命)を予想することはできない」との見方を示した。

英生物老年学研究財団のアレックス・ザボロンコフ氏も、限界説について「科学的には理にかなっている」としながらも、「老化の生物学にもっと真剣に関与すれば、寿命を相当延ばすことはできる」と見る。

100年前に比べて生活環境は改善されたが、現代の子どもたちについても不安はあるとパートリッジ氏は言う。「肥満は大きな悲劇」だと同氏は話し、「子どもたちは非常に不健康な育ち方をしている。私たちは長期的な影響に関してなすべきことがたくさんある。展望はあまり良くない」と予想している。