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心血管系の病気とホルモンの関係 更年期前後は要注意
女性の血液、血流、血管の状態は、女性ホルモンの変化の影響を受け、特に閉経前後でガラリと変わる。見た目の変化や不調だけでなく、心血管系の病気に突然襲われることも。慌てないためにはこれから起きる変化を知っておくことが大切だ。
【関連画像】エストロゲンの分泌量の推移グラフ
女性の血液、血流、血管の状態は、女性ホルモンの変化の影響を受け、特に閉経前後でガラリと変わる。見た目の変化や不調だけでなく、心血管系の病気に突然襲われることも。慌てないためにはこれから起きる変化を知っておくことが大切だ。
「女性の血液や血流、血管を取り巻く状態は、更年期にガラリと変わる」。そう話すのは、霞が関ビル診療所婦人科の丸山綾医師。今年(2014年当時)50歳になったタレントの磯野貴理子さんが脳梗塞に見舞われた報道は記憶に新しいが、更年期に心血管や代謝系の病気リスクが高まるのは、女性ホルモン(エストロゲン)が大きく関係しているから。
エストロゲンには血管をしなやかにし、血流を促す作用がある。更年期まではエストロゲンに守られているが、更年期になってエストロゲンが減ると、「月経不順や不正出血、のぼせなどの不調が表れ、血中コレステロールが上昇して動脈硬化や脳梗塞なども発症しやすくなる。こうした変化が起きることを知っておくことが大事」と、静風荘病院女性内科・女性外来の天野恵子医師は指摘する。
●更年期の不調軽減のために
また、金沢医科大学の赤澤純代准教授は、「更年期までの過ごし方で状況は変わる。PMS(月経前症候群)の症状がある人は更年期障害が出やすいという報告があるが、月経トラブルや冷えなどがある人は、血流を良くしておくことが更年期の不調軽減につながるはず」という。
女性ホルモンのサイクルは一生を通して変化する。年代ごとにかかりやすい病気や不調と「血」の関係を知っておこう。女性の「血」の状態は更年期前後で大きく変わる
エストロゲンの分泌量の推移グラフ(関連画像)とともに、血液・血流・血管の変化を見ていこう。
エストロゲンの分泌は初経を境に増え始め、30歳ごろにピークに達した後、徐々に減り、更年期に激減する。閉経をはさむ前後10年間が更年期。個人差はあるが、月経不順やのぼせ、発汗、イライラといった不定愁訴が表れる。
この前後で、血液中の脂質が増える、血流が悪くなる、血管が硬く、もろくなるといった変化が起こり、閉経後は脂質異常症、高血圧、糖尿病、動脈硬化などが起こりやすくなる。
●動脈硬化が進んだ血管と健康な血管の違い
閉経後に起こりやすいとされる動脈硬化。イラストで動脈硬化が進んだ血管と健康な血管の違いを確認しよう。イラスト右側が健康な状態、左側が動脈硬化が進んだ状態だ。
心臓から血液を末端にまで送る動脈は、静脈に比べて壁が厚い。血管壁は外膜、中膜、内膜で構成される。内膜は、動脈硬化との関係が深い。
血管は加齢によって硬さを増すが、血管内を流れる血液の状態や血流によっても悪化する。高血圧や脂質異常症などの生活習慣病があると血管内にコブ状の「プラーク」が形成され、詰まりやすくなる。プラークが破れると血栓ができ、心筋梗塞や脳梗塞などの原因に。
取材・文/熊 介子、西山裕子、羽田 光(日経ARIA編集部)、茅島奈緒深 イラスト/日の友太
日経ヘルス2015年1月号掲載記事を再構成
この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります