介護・医療関連ニュース
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		わかめの摂取によって食後の血糖値の上昇とインスリンの分泌を抑える効果を確認海藻は日本食を代表する食材であり、「健康的である」というイメージがあるにもかかわらず、その健康効果については未解明な部分が多い食べ物だ。 
 
 今回、理研ビタミンはわかめを摂取することにより食後の血糖値の上昇とインスリンの分泌が抑えられることをヒト試験で確認した。
 
 わかめの摂取が食後血糖値およびインスリンの上昇を抑える
 わかめの摂取による食後血糖値の上昇抑制(図1)
 
 わかめを食べていた場合は食べていない時と比較し、食後の血糖値の上昇が著しく抑えられた。特にその効果は食後30分で著しく(図1A)、食後2時間を通じた血糖値の変化量の合計も、わかめの摂取により著しく低下していた(図1B)。
 
 
 
 わかめ摂取によるインスリンの節約(図2)
 
 わかめを食べていた場合は食べていない時と比較し、食後のインスリンの上昇が著しく抑えられた。特にその効果は食後30分で著しく(図2A)、食後2時間を通じた血中のインスリンの変化量の合計も、わかめの摂取により著しく低下していた(図2B)。
 
 
 
 食事をして炭水化物をとると、消化によってブドウ糖となり、小腸から吸収されて血液のなかに入るため、食後は血液中のブドウ糖の量(血糖値)が高くなる。
 
 健康なヒトの場合、血糖値が上がるとその変化を膵臓が感知してインスリンというホルモンを分泌し、ブドウ糖が筋肉に取り込まれてエネルギーとして使われる。余った分は肝臓、脂肪細胞などの組織に脂肪などとして蓄えられて、適度な値に血糖値はコントロールされる(文献3)。
 
 食後の急激な血糖値の上昇は動脈硬化をまねき、糖尿病の進行にもつながるため、上手にコントロールすることが大切だ。
 
 また、インスリンの作用は血糖値の制御だけでなく、脂質の代謝などにもおよび、過剰なインスリンは糖分を脂肪に変えてからだに貯めるようにも働く(文献4, 5)。そのため、食後の過剰なインスリンの分泌を抑えることも大切だ。
 
 研究の結果から、わかめを摂取することにより、食後の血糖値の上昇およびインスリンの分泌が抑えられることが期待される。
 
 方法
 
 被験者:健常成人男女26名の方
 対照食:米飯 200g
 試験食:米飯 200g+乾燥カットわかめ※ 4g
 ※5分間、十分量の水で戻し、その後2、3回水ですすぎ水切りしたものを摂取。
 ※米飯摂取5分前よりわかめは摂取を開始した。
 調査項目:米飯摂取前、摂取30、60、90、120分後の血糖値および血中のインスリン値
 
 文献1)Hata Y., Nakaima K., Uchida J., Hidaka H., Nakano T. Clinical effects of brown seaweed, Undaria pinnatifida (wakame), on blood pressure in hypertensive subjects. J. Clin. Biochem. Nutr. 2001; 30: 43-53.
 
 文献2)Yoshinaga K, Maruya R, Koikeda T, Nakano T. Effect of Undaria pinnatifida (wakame) on the human intestinal environment. Functional Foods in health and disease 2018; 8(10): 477-493.
 
 文献3)糖尿病治療の手びき2017(改訂第57版) 日本糖尿病学会編・著 南江堂
 
 文献4)糖尿病診療ガイドライン2016 日本糖尿病学会編・著 南江堂
 
 文献5) 益崎裕章 肥満症の内分泌学的解析 日本内科学会雑誌 2011; 100(9): 2638-2645.
 
 構成/ino@DIME 

