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大豆、みかんがロコモとメタボを同時予防! 中高年は積極摂取オススメ

【食と健康 ホントの話】

 ロコモティブシンドローム(ロコモ)の一つである骨粗しょう症予防の基本は、3大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)を過不足なく摂取した上で、前回説明したようなビタミンやミネラルを十分に補給することだ。

 さらに現在注目されるのが植物由来の成分だ。

 骨によいことで最も有名なのが、特定保健食品(国が機能性表示の許可を出しているもの)の大豆イソフラボンだろう。女性ホルモン(エストロゲン)は骨の形成を促し、骨の吸収(破壊)を抑える作用があるが、大豆イソフラボンも同様の働きをするためだ。そのため、閉経後にエストロゲンが激減する女性に効果的であるとされる。

 男性も女性ほどではないが、男性ホルモン(アンドロゲン=こちらも骨に重要)の分泌は中年期以降に緩やかに減少するので、性ホルモンの働きを助ける大豆イソフラボンは、やはりお勧めだ。

 他にも、抗酸化作用や動脈硬化予防、がん予防などが期待される大豆イソフラボンだが、大豆やサプリメントで摂っても効果の低い人がいる。

 大豆イソフラボンは、腸内細菌によって分離吸収され、エクオールという代謝産物に変えられるが、それができる人とできない人がいる。それは「エクオール産生菌」が腸内にあるかどうかで、それがないと大豆イソフラボンを摂っても、高い効果は期待できない。アジア人は約50%、欧米人は20~30%がエクオール産生菌を持っていると考えられているが、持っていない可能性のある人、あるいは効率的に摂取したい人は、機能性表示食品(メーカーが科学的根拠を基に機能性を表示したもの)を利用するのもおすすめだ。

 骨を強くする効果が認められている植物由来成分は他にもある。温州みかんに多く含まれる、β(ベータ)クリプトキサンチンだ。東京農業大学応用生物科学部食品安全健康学科(東京都世田谷区)の上原万里子教授が語る。

 「βクリプトキサンチンは、カロテノイド(天然色素)で、ビタミンの一種です。1日3個食べると骨に良いとされています」

 ところで、骨は古くなった部分を破壊する破骨細胞と、それを修復する骨芽細胞の2種類の細胞によって成り立っているが、加齢にともない、骨が作られるより破壊される方が上回るようになる。そのバランスをとるために、破骨細胞の働きを抑制する成分には、先述の大豆イソフラボン(エクオール)をはじめとするポリフェノールと、ブロッコリースプラウトに多く含まれるスルフォラファンなどが知られている。

 上原教授は、これらの植物成分は骨の健康を守るばかりでなく、メタボの代表格である糖尿病や脂質異常症などにも効果的である可能性が高いという。

 「骨粗しょう症もメタボリックシンドロームも、慢性炎症が基盤の疾患です。脂肪細胞は、炎症を引き起こすサイトカインという物質を分泌しますし、破骨細胞はサイトカインにより活性されますが、これらの植物成分によって炎症が抑えられる可能性があります」

 また、骨の細胞から産出される「オステオカルシン」という成分が、血糖値や脂肪蓄積を調節するなど、骨代謝と脂質代謝はリンクしていることがわかってきている。中高年は男女ともに、これらの植物成分を積極的に摂るのがおすすめだ。(医療ジャーナリスト 石井悦子)