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鼻水が意外な病気の原因にも? 医師が薦める正しい鼻のかみ方

鼻水、鼻づまり……花粉症だと思っていませんか? 「春は花粉症なのか、風邪をひいているのかが見分けにくく悪化させてしまうことがあります」と語るのが、医師でMRT株式会社取締役副社長の小川智也先生。実は、鼻水と侮ることなかれ。思わぬリスクが潜んでいるといいます。救急センターでさまざまな症状の患者と接してきた小川先生によると、鼻水が原因で中耳炎が引き起こされたり、心筋梗塞や脳髄膜炎を誘発してしまったという例も。知っているようで知らない鼻水のこと。鼻水の状態や正しい処理の仕方を知ることで、重症化を防ぎましょう。小川先生に聞きました。

【画像】花粉症の人に警報! 日常に潜む症状悪化を誘発する物質たち

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小さな子、高齢者は気を付けて 優しく根気よくゆっくりと鼻水のかみ方のコツ

 鼻水をかむとき、両鼻を押さえチーン! と強くかんでいませんか? 「それは絶対にNG。力いっぱいかむことで、さまざまな問題が引き起こされる可能性があります」と小川先生は指摘します。

 例えば、飛行機に乗ったときや、新幹線などがトンネルに入ったときの耳閉感をなくすため、つばを飲み込んだり、鼻をつまんで耳抜きをした経験があると思います。これは、耳管と鼻咽腔内は繋がっているため効果があるのですが、鼻をかむ場合は気を付けなければなりません。特に小さな子、高齢者の場合は注意しましょう。

【小さな子どもの場合】
耳管が短く、強い圧がかかると鼻水が耳管内まで押し出され、中耳炎に罹る恐れがあります。また、逆に鼻をすすり上げてしまう子も多いのですが、細菌・ウイルスを含んだ鼻水が耳管に流れ込む恐れがあります。鼻水は正しくこまめに排出しましょう。

【高齢者の場合】
鼻水が直接の原因ではありませんが、鼻をかむ際に一気に力をこめることで、血圧が急上昇。脳出血や心筋梗塞の発症に繋がりかねません。そのため、急激な血圧上昇を引き起こさないよう優しく鼻をかむことが大切です。

鼻水が意外な病気の原因にも? 医師が薦める正しい鼻のかみ方

片方の鼻を押さえ、優しく出すのがポイント【写真:Hint-Pot編集部】

医師直伝 正しい鼻のかみ方と鼻水の種類

 小川先生直伝の正しい鼻のかみ方は次の通りです。“優しく根気よくゆっくり”がコツ。

〇正しい鼻のかみ方
1.片方の鼻の穴を優しく押さえる。
2.口からたっぷりと空気を吸い込む。
3.小刻みに繰り返し繰り返し軽く出す。

 小さな子どもの場合は、なかなか上手に鼻水を出すことができない場合もあります。「そんなときは遊びを交えて、日頃から楽しく鼻のかみ方を教えてあげるのも大切」と小川先生は言います。鼻息で紙ずもうをしたり、ティッシュペーパーをテーブルに置いて鼻息で遠くまで飛ばすゲームなどがおすすめなのだそう。このとき、鼻をかむときと同じように、片方の鼻の穴を指で押さえ、口からたくさん空気を吸いこむことを指示してあげましょう。

 意外と知られていないことだと小川先生が言うのが、鼻水は健康な人でも毎日数リットルも分泌をしているということ。鼻の粘膜の湿り気を保ち、吸い込まれた異物を取り除くためです。風邪や花粉症などになると、炎症反応が起き飛躍的に鼻水の量が増えるため、普段は喉の奥へと流れ込んでいた鼻水が、体外へと排出されます。

 春は混同してしまいがちな風邪と花粉症ですが、鼻水の色や状態で見分けることができるそうです。鼻水の状態は大きく分けて2パターン。

1、さらっとした無色透明のいわゆる水ばな
2、ネバネバと粘度が高く、みどりや黄色

 1は、花粉症のようなアレルギー症状のときに多い状態です。2は、みどりや黄色の正体は、感染症の原因となる細菌と白血球が戦ったときの死骸などです。受診した際に、医師から鼻水の状態を質問されるのはそのためだそうです。

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