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栄養バランスが悪化 持病がある人は二次性サルコに要注意

「加齢性サルコ」は老化に伴って進行するため、予防が簡単ではありません。最近、「高齢者は肉を食え」みたいなことが盛んに言われているのは、筋力維持に肉が最適だからです。ところが、高齢者は肉を食べるから元気なのか、元気な高齢者だから肉が食えるのか、どうもあまりはっきりしていないようです。

 中高年の我々は、健診のたびに「もっと体重を減らせ」「酒も減らせ」と言われることはあっても、「もっと肉を食え」とは言われません。そのあたり、どうなんでしょうか。

 サルコにはもうひとつ、「二次性サルコ」と呼ばれるものがあります。

 こちらは主に内臓などの病気に起因する、筋力や身体機能の低下のことです。とくに消化器系の持病があると、食欲が落ち、栄養を消化吸収する能力が弱ってしまいます。また肝臓、腎臓、心臓などの病気も、食欲低下や栄養バランスの悪化につながります。

 ですから健康診断でなにか持病が指摘されたら、いまのうちからケアしておくことが大切です。

 とくに糖尿病、高脂血症、動脈硬化などは、ケアしておいたほうがいいでしょう。いまは大丈夫でも、いずれ人工透析や脳梗塞や心筋梗塞につながるかもしれません。そうなると体力や運動機能が悪化して、一気に老け込んでしまいます。

 もちろんがんも二次性サルコを引き起こす原因になります。手術を受けると、傷を回復させるために、体は大量の栄養を必要としますが、術後すぐに食事で補給できるとは限りません。そんな状態で術後の抗がん剤や放射線治療を受ければ、さらに栄養補給が難しくなって、かえって命を削ってしまいます。

 そのため最近では、「栄養サポートチーム」を組織して、患者の食事指導を積極的に行う病院が増えてきました。運悪くがんにかかったときは、単に手術数だけでなく、十分な栄養指導が受けられるかどうかも、病院を選ぶ基準にするべきです。

 いまの高齢者は、だいたい80歳前後からサルコっぽい人が増えてきます。それをもとに考えると、いまの中高年は80代後半ごろからサルコ年齢が始まるはずです。しかしいまから備えておけば、それを90歳前後まで先延ばしできるかもしれません。