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脳が疲れやすい人に共通する「休み=充電」の思い込み(ダイヤモンド・オンライン)
どれだけ休んでも、疲れが取れない」という人は、脳に疲労が蓄積している可能性がある――そんな話を前回させていただきました。
では、脳疲労を回復するにはどんな方法があるのでしょうか?
「科学的な脳の休め方」をまとめた最新刊『世界のエリートがやっている 最高の休息法』よりご紹介します。
● 世界のエリートは、 こうして脳を休ませる
まずは簡単におさらいから…。
前回はこんなお話をさせていただきました。
「何もしない」でも「脳疲労」は消えずに残る
――あんなに休んだのに…朝からアタマが重い理由
http://diamond.jp/articles/-/96908"
【その1】
脳の疲れは、身体の疲れとは違い、ただのんびりしても回復しづらい
【その2】
脳のエネルギーの60~80%は、「ぼーっとしているときにも動き続ける脳回路(デフォルト・モード・ネットワーク:DMN)」に費やされている
【その3】
DMNの過剰な活動を抑えない限り、脳は何もしないでも疲れを溜め込んでいく
【その4】
DMNの活動を抑えることこそが、現代人にとっての「最高の休息法」
これを踏まえて、以下のお話をしていきたいと思います。
* * *
マインドフルネス
という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 日本でもこれに関連する書籍がたくさん出ているそうですが、アメリカではここ数年、マインドフルネスが爆発的に流行しています。 この得体の知れない言葉が何を意味しているのか、それは今後の連載や『世界のエリートがやっている最高の休息法』本編の中でつかんでいただければと思いますが、あえてこれをひと言で説明すれば、マインドフルネスとは「瞑想などを通じた脳の休息法の総称」です。● 実利を重んじそうな アメリカ人がなぜ瞑想?
アップル創業者のスティーブ・ジョブズが、瞑想の実践者だったことはあまりに有名ですよね。
また、グーグルのような巨大企業でもSIY
(Search Inside Yourself)というマインドフルネス研修が、社内の仕組みとして取り入れられ、その効果が実証されつつあります。
そのほか、フェイスブック、シスコ(ネットワーク機器最大手)、パタゴニア(アウトドアウェア製造・販売)、エトナ(医療保険大手)といった有名企業でも導入が進んでいます。 さらに、マーク・ベニオフ(セールスフォース・ドットコム会長兼CEO)、ジェフ・ウェイナー(リンクトインCEO)、ジョン・マッキー(ホールフーズ共同CEO)、エヴァン・ウィリアムズ(ツイッターなどの創業者)、マーク・ベルトリーニ(エトナ会長兼CEO)など、エグゼクティブや起業家にも、瞑想の実践者は少なくありません。
何よりも実利を重視しそうなアメリカ人、しかも、本当に役立つものにしか手を出さないはずのエリートたちが、なぜマインドフルネスを実践しはじめているのか?
その理由は簡単です。彼らは「脳の休息」の大切さをわかっていて、同時に、マインドフルネスこそが「最高の休息法」だと知っているからです。
アカデミズム領域でも、マインドフルネスの脳科学的な裏づけは進んでいます。
たとえば、イェール大学医学部の精神神経学科にいた私と同門の研究者ジャドソン・ブリューアー
(現・マサチューセッツ大学准教授)は、「DMN(脳エネルギーの浪費家)の主要部位の活動は、瞑想によって抑制できる」と報告しています。 つまり、瞑想こそが「科学的に正しい脳の休ませ方」だと言えるエビデンスが、次々に集まりはじめているのです。
● 本当の休息は「単なる充電」ではない
そこで、「脳の休息法としてのマインドフルネス」について、脳科学的な知見も交えながらお伝えさせていただいたのが『世界のエリートがやっている最高の休息法』です。
じつはこの本では、物語形式を取り入れています。舞台は、私も学んだイェール大学の医学部。マインドフルネスが脳科学の最前線とどのように触れ合っているのかを、リアルな奥行きとともに感じ取っていただけることと思います。
登場人物はすべて架空の人物ですが、引用している研究成果はすべて現実のものです。巻末にはけっこうな量の参考研究リストが付いています。
なぜこのようなストーリー形式をとったのか? もちろん理由があります。1/2ページ