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結核患者、7割が60歳以上 高齢者施設に検査呼びかけ
結核に感染する高齢者が多いとして厚生労働省は、通所介護施設などの高齢者施設に、結核の検査を利用者に呼びかける通知を出した。早期発見をして感染拡大の防止を図る。昨年の新規患者全体の約7割が60歳以上で、このうち90歳以上は1900人を超し、過去最多を更新した。
厚労省によると、全体の患者数は減少傾向で、昨年新たに登録された結核患者は前年比836人減の1万6789人。だが高齢者の罹患(りかん)率は高く、年代別患者数は80代が4822人(29%)と最多。70代3187人(19%)、60代2024人(12%)、90歳以上1904人(11%)と続く。
結核は、結核菌がせきやくしゃみで空気感染し、主に肺で増えて発病する。約1~2割は2年以内に発病するが、抑え込まれた結核菌は肺の中で、「冬眠状態」に入るという。高齢の患者は、戦後の結核が多かった時代に感染して発症しなかった人が、加齢などで免疫力が低下し、発症するケースが多い。
森亨(とおる)・結核予防会結核研究所名誉所長は「高齢の方は結核発病のリスクが高い。気づかないうちに子どもや若者への感染源にもなるので、検査を受けてほしい」と話す。(黒田壮吉)